この記事の監修・編集について
本記事は、株式会社GKMが運営する「法人資金支援センター」編集部が作成・編集しています。当編集部は、登録いただいているファクタリング会社各社への取材・ヒアリングをもとに、実務に即した情報をまとめています。掲載内容は一般的な情報提供であり、特定の業者をおすすめするものではありません(私たちの約束)。法律の解釈は専門家によって見解が分かれることや、時代とともに変わることもありますので、実際のご契約にあたっては契約書の内容をご確認のうえ、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。専門用語はファクタリング用語辞典でも確認できます。
「借りられますか?」——現場で実際にあった相談
あるファクタリング会社から聞いた相談です(特定を避けるため、地域・取引先などの具体は一般化しています)。リフォーム・内装の工事を手がける会社からの申し込みで、「45日後に入ってくる工事代金の入金があるので、それを早く資金化したい」という内容でした。
ところが担当者は、その売掛先(=支払う相手)の信用情報を確認した結果、今回はこの会社の与信が社内の基準に届かず、この債権は買い取れないという判断になりました。担当者は理由を細かく並べ立てることはせず、「今回は弊社では、この売掛先の債権をお買取りできません。ほかにお取引先の債権はございませんか」と、丁寧に別の可能性を尋ねたそうです。
相談者は驚きます。「うちはこの一社と10年以上つきあっていて、入金が遅れたことは一度もないのに」。もっともな気持ちです。けれど、ここにファクタリングの本質があらわれています。担当者はもう一度、「申し訳ありませんが、今回はお買取りできません」と伝えました。すると相談者は、こう続けたそうです。
「じゃあ、その期日に取引先が払えなくなったら、そのときは自分が工面して返す。だから、お金を貸してくれないか」。この一言に、担当者は次のように答えました。
「申し訳ありません。弊社は貸金業をしておらず、貸金業の登録もありません。そもそもファクタリングは、お金を貸すのではなく債権を買い取る取引です。ですので、買い取った債権(その売掛先からの入金)から回収金をお渡しいただく形になります。『払えなかったら自分が返す』というお約束では、それは買取ではなく“貸し借り”になってしまうんです」
断られたこと自体は残念な結果です。けれども、この担当者の説明は、ファクタリングという仕組みを正確に言い当てています。順番に見ていきましょう。
ファクタリングは「借りる」ではなく「債権を売る」
ファクタリングは、すでに持っている売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売って、入金予定日より前に現金化する取引です。受け取るのは「借りたお金」ではなく、債権を売った代金。だから返済という考え方がなく、後日その売掛先からの入金を、ファクタリング会社が直接(または申込者を通じて)回収して取引が終わります。基本の仕組みはファクタリングとは?もあわせてご覧ください。
ここが融資(銀行融資・ビジネスローンなど)との決定的な違いです。融資は「お金を借りて、元金に利息をつけて返す」もの。返済義務があり、借入金として負債に計上されます。一方でファクタリングは、売掛金という資産を現金に換えているだけなので、原則として借入のような負債にはあたりません。融資との使い分けは銀行融資とファクタリングの違いで詳しく整理しています。
そして、この「借りるのではなく買い取る」という一点が、ファクタリング会社が貸金業の登録がなくても事業を行える理由でもあります。お金を貸す取引ではないからです。逆にいえば、貸金業登録もないのに「お金を貸します」と近づいてくる相手には注意が必要です(違法・悪質な業者の見分け方)。
【図解】融資(貸付)とファクタリング(買取)はどう違う
「借りる(融資)」と「売る(ファクタリング)」は、お金の流れも、後の負担もまったく別ものです。図で並べて見てみましょう。
左の融資は、あなたと金融機関のあいだでお金を貸し借りし、あとで返します。右のファクタリングは、債権という「もの」を売買し、期日に支払うのは売掛先です。あなたが返すのではありません。だからこそ、ファクタリング会社にとっては「その売掛先がちゃんと払ってくれるか」が何より重要になります。
だから「払えなかったら自分が返す」は通らない
冒頭の相談者の「払えなかったら自分が返すから貸してほしい」という申し出は、心情としてはとても自然です。長年の取引先を信じ、なんとか資金をつなぎたいという誠実さの表れでもあります。それでも担当者が断ったのには、はっきりした理由があります。
通常のファクタリング(買取型)は、「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則です。これは、万一その売掛先が支払えなくても、申込者が肩代わりして買い戻す義務を負わないという取り決めのこと。売掛先の不払いリスクは、買い取ったファクタリング会社が引き受けます。だからこそ「売掛先の信用」が審査の中心になるわけです。用語の意味は用語辞典でも確認できます。
ここで「払えなかったら自分が返す」を約束してしまうと、実質はお金の貸し借り(貸付)そのものになります。売掛先が払えなければ申込者が返す――それは債権の売買ではなく、返済義務のある借金です。買取だけを行うファクタリング会社が、これに応じられないのは当然のこと。むしろ、買い戻し義務や利息のような条件を求めてくる「ファクタリング」には注意が必要で、買い戻し(償還請求権)付きの“ファクタリング”を装った貸付や、給与ファクタリングについては、金融庁も注意喚起を行っています(違法・悪質な業者の見分け方)。
「これは借りるの?売るの?」と迷ったら、契約前に無料でご相談ください。順位もおすすめもつけず、複数のファクタリング会社にまとめて相談でき、条件を見比べられます。
無料で一括査定する簡単30秒・最短即日対応・法人/個人事業主対応逆に、売掛先の信用が届かないと買い取れない
「借りるのではなく、売掛先からの入金で回収する」という仕組みを裏返すと、こういうことになります。期日に支払うのは売掛先だから、その売掛先の信用が各社の基準に届かないと、買取を見送られることがある――たとえ申込者本人が健全で、長い取引実績があっても、です。
冒頭の相談者は、10年以上・無遅延という立派な実績を持っていました。それでも今回断られたのは、本人の問題ではなく、その回の売掛先の与信が理由でした。ここで大切なのは、良識あるファクタリング会社は、第三者である売掛先の内部事情を、申込者に事細かに並べ立てたりはしないということ。取引先の信用情報は繊細な情報なので、「今回は基準に届かなかった」という範囲で丁寧に伝えるのが、誠実な対応です。
そして、この評価の基準は会社ごとに違います。同じ売掛金でも、ある会社では難しく、別の会社なら対応できる、ということが起こります。その仕組みはなぜ同じ売掛金でも会社によって審査結果が違うのかで詳しく解説しています。また、そもそも「誰への売掛金か(発注元が法人か個人か)」で通りやすさが変わる点はファクタリングは「誰への売掛金か」が重要もあわせてご覧ください。
断られたときの、次の一手
1社で断られても、そこで終わりではありません。落ち着いて、次の選択肢を並べて考えましょう。
- 別の売掛先の債権を出せないか。今回の売掛先が難しくても、他に請求している売掛金があれば、そちらで資金化できることがあります。
- 複数の会社に相談する。審査基準は各社で異なるため、同じ債権でも結果が変わることがあります(即日を断られた・間に合わない時は?)。
- 「貸してほしい」ではなく、正しい手段を選ぶ。純粋に借入が必要なら、それは融資や公的な資金調達の領域です。ファクタリングと融資は目的が違うので、状況に合わせて使い分け・併用を考えます(融資との違い・使い分け)。
- 本物の債権なら、通知・確認できる3社間も選択肢。実在する売掛債権であれば、売掛先に通知・確認して進める3社間ファクタリングで、より安心して資金化できる場合があります(3社間で安全に資金化できる理由)。
大切なのは、断られたことに焦って「貸してくれる」と言う相手に飛びつかないこと。ファクタリングは借りる取引ではない――この一点を押さえておくだけで、あやしい勧誘から自分を守れます。
よくある質問
Q. ファクタリングでお金を借りることはできますか?
A. いいえ。ファクタリングはお金を借りる(融資・貸付)取引ではなく、すでに持っている売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売って、入金予定日より前に資金化する取引です。受け取るのは「借りたお金」ではなく「債権を売った代金」なので、返済ではなく、後日その売掛先からの入金でファクタリング会社が回収します。まとまった現金が必要でも、売掛債権がなければファクタリングは利用できません。
Q. ファクタリングは借金・負債になりますか?
A. ファクタリングは債権の売買であり、原則として借入金のような負債にはあたりません。売掛金という資産を現金に換えるだけなので、借入とは異なる扱いになります。ただし手数料は差し引かれるため、使い続ければコストが積み重なる点は意識しておく必要があります。会計・税務上の具体的な扱いは顧問税理士にもご確認ください。
Q. 「売掛先が払えなかったら自分が返す」という条件で契約できますか?
A. 通常のファクタリング(買取型)は、売掛先が支払えなくても申込者が買い戻す義務を負わない「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則です。「払えなかったら自分が返す」という前提は、実質的にお金の貸し借り(貸付)に近く、買取ではなくなってしまいます。買い戻し義務のある「ファクタリング」を装った貸付や給与ファクタリングについては、金融庁も注意喚起を行っています。だからこそ買取型のファクタリングでは、売掛先の支払い能力が重視されます。
Q. 貸金業の登録がないファクタリング会社でも問題ないのですか?
A. ファクタリング(債権の買取)はお金を貸す取引ではないため、買取だけを行う会社は必ずしも貸金業の登録を必要としません。むしろ、貸金業登録がないのに「お金を貸します」と持ちかけてきたり、買い戻し義務や利息のような条件を求めてきたりする相手には注意が必要です。安全に使うためのチェックは、違法・悪質な業者の見分け方もあわせてご確認ください。
Q. 売掛先の経営状態が悪いと、必ず断られますか?
A. 買取型のファクタリングでは、期日に支払うのは売掛先です。そのため、売掛先の信用が各社の基準に届かないと、申込者本人が健全で長い取引実績があっても、その債権の買取を見送られることがあります。ただし評価の基準は会社ごとに異なるため、1社で難しくても別の会社では対応できる場合や、別の売掛先の債権であれば資金化できる場合があります。
Q. 1社で断られたら、もうファクタリングは使えないのですか?
A. そうとは限りません。ファクタリングの審査は売掛先の信用を各社が独自の基準で評価するため、同じ債権でも会社によって結果が変わることがあります。複数の会社に相談することで対応できる相手が見つかることもあります。あわせて、融資や公的な資金調達と組み合わせる選択肢も検討するとよいでしょう。
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「借りる」と思い込んでいると、見えなくなるもの
取材をしていると、ファクタリングを「借金の一種」と受け止めている方は少なくありません。でも、借りるのではなく債権を売る取引だと分かると、断られた理由も、あやしい勧誘の見抜き方も、急にはっきり見えてきます。今回の相談者のように、長年の信頼を胸に「自分が返すから貸して」と申し出る誠実さは尊いものです。だからこそ私たちは、順位もおすすめもつけず、仕組みを正しくお伝えしたうえで、複数社を比べられる窓口としてお手伝いしたいと考えています。
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