用語はカテゴリ別に並べています(全72語)。気になる言葉から読んでください。より詳しい解説があるものは、関連コラムへのリンクを付けています。
基礎・仕組み
ファクタリングfactoring
企業が持つ売掛金(入金前の請求書)を専門会社に売却し、支払期日より早く現金化する資金調達の方法です。お金を借りる「融資」ではなく、これから入るお金を売って前倒しで受け取る「債権の売買」なので、負債が増えないのが大きな特徴です。
→ 詳しく見る売掛金うりかけきん
商品やサービスを提供したあと、まだ入金されていない代金を受け取る権利のことです。「掛け(後払い)」で取引したときに発生します。ファクタリングは、この売掛金を売却して早期に現金化します。
支払いサイトしはらいサイト
商品やサービスを提供してから、その代金が実際に入金されるまでの期間のことです。「月末締め翌月末払い」なら約30〜60日。これが長いほど、入金までの立て替え負担が大きく、資金繰りが苦しくなります。
当事者・関係者
第三債務者だいさんさいむしゃ
ファクタリングにおける「売掛先」のことです。利用者にお金を支払う立場の相手を指します。この第三債務者の信用力が、手数料や買い取りの可否に大きく影響します。信用が高い取引先なら好条件になりやすく、確認が難しい相手だと条件が厳しくなることがあります。
方式・種類
2社間ファクタリングにしゃかん
利用者とファクタリング会社の2者だけで完結し、売掛先には通知しない方式です。売掛先に知られずに利用できる一方、回収リスクが高いぶん手数料は高めになりやすい傾向があります。
→ 詳しく見る買取型ファクタリングかいとりがた
売掛金を売却して、すぐに資金化する一般的なファクタリングです。「資金繰りを改善したい」という目的で使われる、最も基本的なタイプです。
保証型ファクタリングほしょうがた
売掛金が回収できなくなったときに備える、保証サービスのことです。資金を早く受け取るためではなく、取引先の倒産などによる貸し倒れリスクに備えるのが目的です。買取型とは目的が異なります。
即日ファクタリングそくじつ
申込から入金までを、最短でその日のうちに完了させる対応のことです。必要書類が揃っていて、2社間で条件が合うケースなどで可能になることがあります。すべての案件が即日になるわけではありません。
→ 詳しく見る注文書ファクタリングちゅうもんしょ
完成前の段階で、注文書(発注書)をもとに資金化するファクタリングです。完成済みの請求書に比べ取り扱う会社は限られ、審査も慎重になりやすい傾向があります。
関連将来債権
→ 詳しく見る診療報酬ファクタリングしんりょうほうしゅう
医療機関が、健康保険組合などへの診療報酬請求権(レセプト債権)を資金化する方法です。支払いが確実で公的なため、比較的低い手数料になりやすい傾向があります。
介護報酬ファクタリングかいごほうしゅう
介護事業者が、国保連などへの介護報酬請求権を資金化する方法です。診療報酬と同様、支払い元が公的で確実なため、条件が安定しやすい傾向があります。
手数料・条件
手数料てすうりょう
ファクタリングで売掛金を現金化する際に、差し引かれる費用のことです。売掛先の信用力・金額・方式(2社間か3社間か)などによって変動します。融資の金利のような明確な上限規制がないため、根拠を説明できる業者かどうかが見極めの軸になります。
→ 詳しく見る掛け目かけめ
売掛金の額面に対して、審査上どの程度を評価対象とするかを示す割合のことです。たとえば100万円の売掛金に掛け目80%なら、評価額は80万円。回収できないリスクを見込んで、額面の一定割合に抑えられることがあります。
オフバランスoff-balance
資産や負債を、貸借対照表(バランスシート)から切り離すことです。売掛金を売却するファクタリングを使うと、売掛金が現金に変わり、財務指標の見え方が変わる場合があります。ただし、会計処理や契約内容によってはオフバランスとならない場合もあります。
関連売掛債権
運転資金うんてんしきん
事業を日常的に回していくために必要な資金のことです。仕入れ・人件費・家賃などが含まれます。入金と支払いのタイミングのずれを埋めるために、ファクタリングが使われることがあります。
契約・法律
償還請求権しょうかんせいきゅうけん
売掛先が支払わなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に「代わりに払ってください」と弁済を求められる権利のことです。これがある契約(ウィズリコース)は、回収できなければ利用者が買い戻すことになり、実質的に貸付に近いとされ注意が必要です。一般的な買取型ファクタリングでは、償還請求権のないノンリコース契約が採用されることが多くなっています。
ノンリコースnon-recourse
償還請求権のない契約のことです。売掛先が倒産などで支払えなくなっても、利用者が買い戻す必要はありません。回収リスクをファクタリング会社が負う形で、一般的な買取型ファクタリングではこのノンリコースが採用されることが多くなっています。
ウィズリコースwith-recourse
償還請求権のある契約のことです。売掛先が支払わなければ、利用者が買い戻す(弁済する)必要があります。実質的に貸付に近いとされ、金融庁も注意を促しています。
リコースrecourse
「遡及(そきゅう)」を意味し、ファクタリングでは償還請求権のことを指します。リコースあり=ウィズリコース、リコースなし=ノンリコースと呼ばれます。
債権譲渡契約さいけんじょうとけいやく
売掛金(債権)を、譲渡人から譲受人へ売り渡す契約のことです。ファクタリングの基本となる契約で、契約書の内容をよく確認することが大切です。
第三債務者対抗要件だいさんさいむしゃたいこうようけん
売掛先(第三債務者)に対して「債権はこちらに移った」と主張するための要件です。売掛先への通知、または売掛先の承諾によって備わります。
債権譲渡登記さいけんじょうととうき
売掛金(債権)を譲り受けたことを、法務局に記録する登記のことです。「この売掛金は自分のものだ」と、当事者以外の第三者にも主張できるようにするための手続き(対抗要件)です。
→ 詳しく見る対抗要件たいこうようけん
自分の権利を、契約の当事者以外の第三者に対して主張するために必要な、法律上の要件のことです。債権譲渡の場合は、債権譲渡登記をするか、売掛先への通知・承諾を得ることが、これにあたります。
債権譲渡通知さいけんじょうとつうち
売掛金を譲渡したことを、売掛先(第三債務者)に正式に知らせる通知のことです。3社間ファクタリングで行われ、対抗要件を備えるための手続きのひとつです。内容証明郵便で行われることがあります。
供託きょうたく
お金を支払うべき相手が確定できないなどの事情があるとき、支払う側がそのお金を法務局に預ける手続きのことです。たとえば同じ債権の譲渡が重なって「誰に払えばよいか分からない」状況になると、売掛先がこの供託を選ぶことがあります。その場合、ファクタリング会社は法的な手続きを経て資金を受け取ることになります。
譲渡禁止特約じょうときんしとくやく
契約書に記載されることがある条項で、売掛債権を第三者へ譲渡することを制限する内容です。現在は民法改正により、譲渡禁止特約があっても債権譲渡自体が直ちに無効になるわけではありませんが、契約内容の確認は重要です。
相殺そうさい
互いに同種の債権・債務を持っているとき、その分を差し引きして消滅させることです。売掛先が利用者に対して反対債権を持っていると、相殺によって回収額に影響することがあります。
契約不適合けいやくふてきごう
引き渡された目的物や提供されたサービスが、契約の内容に適合していないことです。旧民法でいう「瑕疵担保責任」にあたる概念で、現行民法では契約不適合責任として整理されています。
審査・書類
審査しんさ
ファクタリング会社が、買い取りの可否や条件を判断する手続きのことです。融資の審査と違い、利用者本人の業績や信用情報よりも、売掛先の信用力と売掛金が実在し確実に入金されるかが重視される点が特徴です。
→ 詳しく見る売掛先の信用力うりかけさきのしんようりょく
売掛先(第三債務者)が、確実に代金を支払えるかどうかの度合いです。ファクタリングの審査で最も重視される要素のひとつで、これが高いほど手数料は下がりやすく、低いと条件が厳しくなったり、買い取りが見送られたりすることがあります。
必要書類ひつようしょるい
ファクタリングの申込・審査で求められる書類のことです。請求書、通帳のコピー、本人確認書類、取引基本契約書、決算書などが代表的です。これらが揃っていると審査がスムーズになります。
→ 詳しく見る債権の実在性さいけんのじつざいせい
売却しようとする売掛金が、実際に存在し、架空のものでないことです。審査で必ず確認される点で、請求書や通帳の入金履歴などで裏づけられます。これを偽る(架空債権の売却や書類の偽造)と、詐欺にあたる重大な違反です。
決算書けっさんしょ
会社の一定期間の経営成績や財政状態をまとめた書類です。審査で求められることがありますが、ファクタリングでは利用者の決算より売掛先の信用が重視される傾向があります。
注意・関連用語
給与ファクタリングきゅうよ
個人の給与(賃金債権)を買い取ると称する取引です。金融庁により貸金業に該当するとされており、無登録での営業はヤミ金融にあたります。法人向けのファクタリングとはまったくの別物で、当サイトでは扱いません。
→ 詳しく見る二重譲渡にじゅうじょうと
同じ売掛金を、複数のファクタリング会社に重ねて売却してしまう行為です。契約違反や不法行為となる可能性があり、故意に資金をだまし取った場合は詐欺罪等に問われる可能性があります。資金繰りに困っても、絶対にしてはいけません。
ヤミ金融やみきんゆう
貸金業の登録をせず、違法に貸付を行う業者のことです。給与ファクタリングを装ったり、ファクタリングに見せかけて法外な手数料を取ったりする違法業者もあります。利用前に、貸金業登録の有無を確認しましょう。所在や連絡先が確認できない業者にも注意が必要です。
→ 詳しく見るでんさい電子記録債権
手形に代わる電子的な債権で、「でんさいネット」で記録・管理されます。期日前に資金化(割引)したり、譲渡したりできます。ファクタリング(売掛金そのものの売買)とは仕組みが異なる、別の資金化・決済手段です。
手形割引てがたわりびき
受け取った手形を、支払期日より前に金融機関などで現金化する方法です。融資の一種であり、債権を売買するファクタリングとは法的な性質が異なります。手形が不渡りになった場合は買い戻しの義務がある点も、ノンリコースのファクタリングとの違いです。
→ 詳しく見る貸倒れかしだおれ
売掛先の倒産や支払い不能などによって、売掛金の回収ができなくなることです。ノンリコース契約のファクタリングなら、譲渡後の貸倒れリスクはファクタリング会社が負います。
個人事業主ファクタリングこじんじぎょうぬし
個人事業主・フリーランスが、事業上の売掛金を資金化するファクタリングです。対応の可否は会社によって異なります。なお、個人の「給与」を買い取る給与ファクタリングとは別物で、こちらは違法とされています。
よくある質問
Q. ファクタリングとは何ですか?
A. 企業が保有する売掛金(入金前の請求書)をファクタリング会社へ譲渡し、入金日前に現金化する資金調達方法です。融資ではなく債権の売買である点が特徴で、負債が増えません。
Q. 償還請求権とは何ですか?
A. 売掛先が支払わなかった場合に、ファクタリング会社が利用者へ支払いを求める権利です。一般的な買取型ファクタリングでは、償還請求権のないノンリコース契約が採用されることが多くなっています。
Q. 掛け目とは何ですか?
A. 売掛金額に対して、審査上どの程度を評価対象とするかを示す割合です。回収リスクを見込んで、額面の一定割合に抑えられることがあります。
Q. 第三債務者とは誰ですか?
A. 売掛金を支払う取引先のことです。ファクタリング審査では、その信用力が重要な判断要素になります。
Q. 譲渡禁止特約がある売掛金でも利用できますか?
A. 契約内容によって取り扱いが異なります。民法改正により譲渡禁止特約があっても債権譲渡が直ちに無効になるわけではありませんが、事前に契約書を確認し、ファクタリング会社へ相談することが重要です。
参考資料・公的機関
本ページの内容は、以下の公的機関の公表資料などを参考にしています。制度の最新情報は、各機関の公式サイトをご確認ください。
- 金融庁|ファクタリングの利用に関する注意喚起(給与ファクタリング・違法業者への注意)
- 法務省(債権譲渡登記制度・民法に関する情報)
- 全国銀行協会(資金調達・金融に関する一般情報)
- でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)(電子記録債権の仕組み)
用語の意味が分かったら、次は実際に条件を比べてみませんか。順位やおすすめはつけません。複数社の条件を並べて、あなた自身の目で選べます。相談・査定は完全無料です。
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分からないまま契約しないために
ファクタリングの契約や審査では、「償還請求権」「債権譲渡登記」「掛け目」など、普段はあまり聞き慣れない専門用語が数多く登場します。しかし、言葉の意味が分からないまま契約を進める必要はありません。
編集部ノートをもっと見る →「この言葉はどういう意味ですか?」「なぜこの手続きが必要なのですか?」「この手数料は何に対する費用ですか?」——こうした質問は、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、納得できるまで確認することが大切です。
信頼できる会社であれば、専門用語を分かりやすく説明し、利用者が理解したうえで契約できるよう丁寧に対応してくれるはずです。反対に、質問を避けたり、説明を曖昧にしたり、契約を急がせたりする場合は注意が必要です。
分からない言葉があれば、そのままにしない。理解できるまで確認する。それが、後悔しない資金調達への第一歩だと私たちは考えています。